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室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道(てるみち)、1889年(明治22年)8月1日 - 1962年(昭和37年)3月26日)は、石川県金沢市生まれの詩人・小説家。別号に「魚眠洞」。
戦後は小説家としてその地位を確立、多くの作品を生んだ。娘朝子をモデルとした1958年(昭和33年)の半自叙伝的な長編『杏っ子』は読売文学賞を、同年の評論『わが愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞を受賞。古典を基にした『かげろふの日記遺文』(1959年(昭和34年))で野間文芸賞を受賞した。この賞金から翌年、室生犀星詩人賞を創設
本文内容見本
2 あじゃり
室生犀星
下野《しもつけ》富田の村の菊世という女は、快庵禅師《かいあんぜんじ》にその時の容子《ようす》を話して聞かした。
「わたくしが峯のお寺へ詣《まい》るのは、ひと年に二度ばかりでございます。春早く雪が消えるころと、秋の終りころとでございます。これはわたくしの家の掟でございまして、その折には四季に食べるお斎糧《とき》を小者にかつがせ、腐らぬ漬物などを用意してまいります。峯の阿闍利《あじゃり》さまはそのたびにわたくし一家のために護摩壇《ごまだん》に坐りながら、一年の災厄を除いてくださるのでございます。峯の御坊寺はごぞんじでしょうが、雨風に荒れてはいますが、一度お詣りをしたあとは爽《さっ》ぱりとしたよい心持でございます。わたくし一家はごらんのように十二人で暮しておりますが、先祖から御坊を信じているのでございます。御坊の前に池がありますが、先祖はあの池で山芋を掘りながら珍らしい黄金の環を拾ったと伝えております故か、いまだに御謝恩の心づかいでお詣りにあがるのでございます。畑に出ておりましても峯の方へ向うては、尻向けぬように致し息子らもそれを守っておるのでございます。
峯の阿闍利さまは去る由緒ある猶子《ゆうし》であられたそうですが、あまり村里へはお下りではなく、谷あいの松をわたる風の音や、珍らしい草木をあつめなどして、わずかなお斎糧でその日その日を送って居られたのでございます。月の十五日には村の家々の軒に立たれ誦経《ずきょう》されて行かれますが、それとても朝早く日の出ぬ山道の置露《おくつゆ》に、おん足がしっとりと膝のあたりまで濡れて居られますが、村里の道に朝日のさすころは最《も》うお引き上げになるのです。村の人々は十五日の前の晩に色々のお斎糧を集めては、そのおかえりの時に侑《すす》めるのでございますけれど、それとても、ほんのお携《も》ちになれるだけしかお提《さ》げになりません。集ったものも空しくその半分は町の端《はず》れの辻堂にお棄置きになるのでございます。阿闍利さまがこの村をお廻りなされたあとは、村の中も何となく穏やかで人々は機嫌がよく、子供らも泣かずに静かでございます。それ故、人々は阿闍利さまの清いお心が村に行きわたるような思いで、阿闍利さまをおろそかにするものは一人もございません。それに野良犬のたぐいまで何時《いつ》の間にか峯の御坊へあつまり、わずかな阿闍利さまのお斎糧にありついて生きていると言われている程でございます。
阿闍利さまはもう五十を出ていらっしゃいますが、見たところしっかりした体躯《からだ》つきで、眉の上に大きい黒子《ほくろ》を持っておられますが、凡夫のわたくしどもはその大きい黒子が何ともいえぬほど、おん優しいお心の程をあらわしているようで、見ただけでも笑ってお話できるような気がいたすのでございます。春、お斎糧を持って出ましたときに、阿闍利さまは日のあたる寺領に山百合の根を掘っていられました。わたくしはまだ雪の残る山々の景色を眺めたりして、
『阿闍利さまはこのような山寺にお住みなされてお寂しいことはございませんか。もし村へお住みになるお心がおありでございましたら、地面もありますこと故、庵を結びなされてはいかがでございます。』
わたくしはこういいまして、心の中で阿闍利さまが村へお下りになればよいと思うていたのです。
代表作品
あじゃり
荻吹く歌
お小姓児太郎
蛾
懸巣
幻影の都市
香爐を盗む
三階の家
玉章
津の国人
天狗
童子
名作速読朗読文庫vol.554室生 犀星全集1読上機能付きProfessional版
名作VOL 件数 作家 作品名 カテゴリー/文字数/文字量
554 1 室生 犀星 芥川の原稿 随筆 2170 小
554 2 室生 犀星 あじゃり 随筆 11423 大
554 3 室生 犀星 或る少女の死まで随筆 48764 大
554 4 室生 犀星 荻吹く歌 随筆 11838 大
554 5 室生 犀星 お小姓児太郎 随筆 7626 大
554 6 室生 犀星 蛾 随筆 9203 大
554 7 室生 犀星 懸巣 随筆 1456 小
554 8 室生 犀星 螽?の記 随筆 3679 中
554 9 室生 犀星 幻影の都市 随筆 28202 大
554 10 室生 犀星 香爐を盗む 随筆 20855 大
554 11 室生 犀星 三階の家 随筆 11665 大
554 12 室生 犀星 舌を噛み切った女 またはすて姫 随筆 12585 大
554 13 室生 犀星 しゃりこうべ 随筆 4129 中
554 14 室生 犀星 性に眼覚める頃 随筆 40338 大
554 15 室生 犀星 玉章 小説 8738 大
554 16 室生 犀星 津の国人 小説 35349 大
554 17 室生 犀星 天狗 小説 3724 中
554 18 室生 犀星 童子 小説 32828 大
554 19 室生 犀星 童話 小説 11952 大
554 20 室生 犀星 とかげ 小説 3011 中
合計冊数 20 合計文字数 309535
名作速読朗読文庫とは
名作速読朗読文庫は、読書の喜びを多くの人に知って戴くための 聞いても読んでも楽しめる文庫です
視覚障害者の方もご利用できる音声でも聞こえるシステムが附属しています
速読能力開発ツールも付属し、これを使うと だれでも本を読むスピードは速くなり、脳が短時間で多くの情報を処理する速読能力がつきます
名作は多くの人生の縮図がはいっており、多くの本を読むことは 一生の財産となります
特徴
簡単に速読が身につく読書能力開発ツールが附属しています
目がご不自由な方には 自動音声で読んでくれますので重宝します
寝ていても読書ができます 耳で聞くと、記憶に残り楽しい余韻があります
他を寄せ付けない圧倒的なボリュームページと多人数でつかえる高機能設定です
日本・世界の童話から古典まで 不朽の一流名作文学集を集大成、
小学生から一般成人まで だれでも すぐ ご利用可、
むつかしい漢字がわからなくてもどんどん読み進めれます
誰でも読書量が劇的に増加します!
□ただ聞くだけ
□文学の内容量の大小から選択可
□完了した読書量を数値でグラフ化
□現在の読書スピードを数値化
□設備は必要なし PC設置不要、ネット環境不要
読みは 機械による自動読みです 読みに誤りがある場合はご連絡をいただけば、可能な限り、修正いたします
更新作業をすれば、正しい読みとなります
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□ 端末の動作確認
Android 4.1以降の環境のすべてに動作確認を保証しているわけではありません
□ 免責事項
1. 本アプリケーションのダウンロードおよびご利用については、ご利用いただくお客様自身の責任において行われるものとします
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□ 著作権
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室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道(てるみち)、1889年(明治22年)8月1日 - 1962年(昭和37年)3月26日)は、石川県金沢市生まれの詩人・小説家。別号に「魚眠洞」。
戦後は小説家としてその地位を確立、多くの作品を生んだ。娘朝子をモデルとした1958年(昭和33年)の半自叙伝的な長編『杏っ子』は読売文学賞を、同年の評論『わが愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞を受賞。古典を基にした『かげろふの日記遺文』(1959年(昭和34年))で野間文芸賞を受賞した。この賞金から翌年、室生犀星詩人賞を創設
本文内容見本
2 あじゃり
室生犀星
下野《しもつけ》富田の村の菊世という女は、快庵禅師《かいあんぜんじ》にその時の容子《ようす》を話して聞かした。
「わたくしが峯のお寺へ詣《まい》るのは、ひと年に二度ばかりでございます。春早く雪が消えるころと、秋の終りころとでございます。これはわたくしの家の掟でございまして、その折には四季に食べるお斎糧《とき》を小者にかつがせ、腐らぬ漬物などを用意してまいります。峯の阿闍利《あじゃり》さまはそのたびにわたくし一家のために護摩壇《ごまだん》に坐りながら、一年の災厄を除いてくださるのでございます。峯の御坊寺はごぞんじでしょうが、雨風に荒れてはいますが、一度お詣りをしたあとは爽《さっ》ぱりとしたよい心持でございます。わたくし一家はごらんのように十二人で暮しておりますが、先祖から御坊を信じているのでございます。御坊の前に池がありますが、先祖はあの池で山芋を掘りながら珍らしい黄金の環を拾ったと伝えております故か、いまだに御謝恩の心づかいでお詣りにあがるのでございます。畑に出ておりましても峯の方へ向うては、尻向けぬように致し息子らもそれを守っておるのでございます。
峯の阿闍利さまは去る由緒ある猶子《ゆうし》であられたそうですが、あまり村里へはお下りではなく、谷あいの松をわたる風の音や、珍らしい草木をあつめなどして、わずかなお斎糧でその日その日を送って居られたのでございます。月の十五日には村の家々の軒に立たれ誦経《ずきょう》されて行かれますが、それとても朝早く日の出ぬ山道の置露《おくつゆ》に、おん足がしっとりと膝のあたりまで濡れて居られますが、村里の道に朝日のさすころは最《も》うお引き上げになるのです。村の人々は十五日の前の晩に色々のお斎糧を集めては、そのおかえりの時に侑《すす》めるのでございますけれど、それとても、ほんのお携《も》ちになれるだけしかお提《さ》げになりません。集ったものも空しくその半分は町の端《はず》れの辻堂にお棄置きになるのでございます。阿闍利さまがこの村をお廻りなされたあとは、村の中も何となく穏やかで人々は機嫌がよく、子供らも泣かずに静かでございます。それ故、人々は阿闍利さまの清いお心が村に行きわたるような思いで、阿闍利さまをおろそかにするものは一人もございません。それに野良犬のたぐいまで何時《いつ》の間にか峯の御坊へあつまり、わずかな阿闍利さまのお斎糧にありついて生きていると言われている程でございます。
阿闍利さまはもう五十を出ていらっしゃいますが、見たところしっかりした体躯《からだ》つきで、眉の上に大きい黒子《ほくろ》を持っておられますが、凡夫のわたくしどもはその大きい黒子が何ともいえぬほど、おん優しいお心の程をあらわしているようで、見ただけでも笑ってお話できるような気がいたすのでございます。春、お斎糧を持って出ましたときに、阿闍利さまは日のあたる寺領に山百合の根を掘っていられました。わたくしはまだ雪の残る山々の景色を眺めたりして、
『阿闍利さまはこのような山寺にお住みなされてお寂しいことはございませんか。もし村へお住みになるお心がおありでございましたら、地面もありますこと故、庵を結びなされてはいかがでございます。』
わたくしはこういいまして、心の中で阿闍利さまが村へお下りになればよいと思うていたのです。
代表作品
あじゃり
荻吹く歌
お小姓児太郎
蛾
懸巣
幻影の都市
香爐を盗む
三階の家
玉章
津の国人
天狗
童子
名作速読朗読文庫vol.554室生 犀星全集1読上機能付きProfessional版
名作VOL 件数 作家 作品名 カテゴリー/文字数/文字量
554 1 室生 犀星 芥川の原稿 随筆 2170 小
554 2 室生 犀星 あじゃり 随筆 11423 大
554 3 室生 犀星 或る少女の死まで随筆 48764 大
554 4 室生 犀星 荻吹く歌 随筆 11838 大
554 5 室生 犀星 お小姓児太郎 随筆 7626 大
554 6 室生 犀星 蛾 随筆 9203 大
554 7 室生 犀星 懸巣 随筆 1456 小
554 8 室生 犀星 螽?の記 随筆 3679 中
554 9 室生 犀星 幻影の都市 随筆 28202 大
554 10 室生 犀星 香爐を盗む 随筆 20855 大
554 11 室生 犀星 三階の家 随筆 11665 大
554 12 室生 犀星 舌を噛み切った女 またはすて姫 随筆 12585 大
554 13 室生 犀星 しゃりこうべ 随筆 4129 中
554 14 室生 犀星 性に眼覚める頃 随筆 40338 大
554 15 室生 犀星 玉章 小説 8738 大
554 16 室生 犀星 津の国人 小説 35349 大
554 17 室生 犀星 天狗 小説 3724 中
554 18 室生 犀星 童子 小説 32828 大
554 19 室生 犀星 童話 小説 11952 大
554 20 室生 犀星 とかげ 小説 3011 中
合計冊数 20 合計文字数 309535
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名作速読朗読文庫は、読書の喜びを多くの人に知って戴くための 聞いても読んでも楽しめる文庫です
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名作は多くの人生の縮図がはいっており、多くの本を読むことは 一生の財産となります
特徴
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