化け物カレシ
■プロローグ <迷子の狼> 外は雨、全く止む気配すらしない。ザーザーと容赦無く降り続けている。 「あ〜あ、早く止めばいいのに」 洗濯も済ませたし、どこに行くという予定もないのだが、なんとなくそう思ってしまう。 気のせいかどこかで声がするような気がする。 「く〜ん、く〜ん」 玄関を開けて外を見回すと、一匹の小さな小さな犬がずぶ濡れで横たわって鳴いていた。 雨のせいで感傷的になっていたからか、まるで泣いているようにも。 それが彼と私の物語の始まりだったのです。 <魔界の鬼公子> 古い洋館。ここには多くの部屋があり、その大部分は閉ざされたまま。 どこからか呼ばれた気がした。洋館の奥の奥、導かれるよ